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早稲田大学政治経済学部現地視察受入れ

 今朝、ほぼ徹夜状態だったのは、いつものように仕事のスピードが遅く、昨日の夕方から着手した講演原稿ができあがったのが今朝8時30分頃となったためでした。

そして、そんな惨状を呈したのは、講演原稿だけならまだしも、並行してパワーポイントの作成作業(すなわち、講演内容を1パラグラフ作るとともに相対するパワーポイントを1、2枚作るという並行作業)も行っていたため、所定時間内に収める配分想定(結果的にオーバーしたけど)と合わせて、マルチタスクになったからでした。

 8時から三役会議をしながらパワーポイントの修正を行い、担当にデータを渡したのが8時30分過ぎ、それから資料の印刷にかかっていただいたため、担当者には大変急がせてしまいました。

 今日は、早稲田大学政治経済学部の稲継ゼミのみなさんが湖南市に実地研修に来られるということで、稲継 裕昭教授と14名の学生のご一行を迎えた研修は、9時30分からスタートしました。

 最初に、市長から概要次のようなあいさつを行いました。

《早稲田大学政治経済学部稲継ゼミのみなさん、おはようございます。

ようこそ、湖南市へお越しいただきました。

湖南市長の谷畑です。

早稲田大学と言えば、ここ数日、文部科学省の天下り不祥事で注目されておりますが、稲継先生とは京都大学大学院法学研究科修士課程の専修コースで村松研究室の後輩にあたります。

そういう関係上、稲継先生から要請があれば、ハイハイとお引き受けすることとしております。

 湖南市は、お手元の市の概要にありますように、平成16年(2004年)10月1日に、いわゆる平成の大合併により旧石部町、旧甲西町の2町合併により誕生した、人口5万5千人のまちです。

面積は70㎢ですが、南北を山地に挟まれておりまして、中央を東西に琵琶湖に流れ込む川としては最も大きい野洲川が流れております。

また、まちの北東の丘陵地帯には湖南工業団地が、北西の丘陵地帯には京阪神のベッドタウンとなっている大規模な住宅団地が広がっています。

 歴史的には旧伊勢参宮街道、旧東海道が通っており、昔から東西交流が盛んでした。

奈良時代には今は湖南三山と号しております常楽寺、長寿寺、善水寺という天台宗で本堂が国宝建築物である3カ寺が創建されておりますし、戦国時代には猿飛佐助のモデルとなったといわれる佐々木六角氏の重臣三雲賢持(かたもち)の息子・三雲佐助の生まれた三雲城があったり、石部金吉という表現のもととなった浄瑠璃などが盛んであった東海道五十三次の五十一番目の宿場町・石部宿があったりします。

 昭和40年ごろから比べると人口が3倍に増えておりまして、全国から引っ越ししてきた人が人口の3分の2を占めているまちでもあるといえます。

そうしたことから、市民活動は活発ですし、課題もたくさん抱えています。

その課題をひとつづつ丁寧に解決する中で、本日、担当から詳しくお話をさせていただく『地域自然エネルギーの地域経済循環』や『楽しくて力の付く湖南市教育』、『多文化共生のまちづくり』など特色ある取り組みがたくさん進められています。

担当から説明する3つのテーマ以外のさまざまな課題や取り組みについては、このあと、かいつまんでお話をさせていただきたいと思います。

ぜひ、じっくりと観察をし、問題点を発見し、それに対する分析ツールを準備して、仮説を立て、実証をしていくという政策科学的なアプローチをもってお話を聞いていただけるといいのかなと思います。

 地方自治の現場における面白いケーススタディを提供できるのではないかと思いますので、今日一日となりますがよろしくお願いします。

》  それに対して、稲継先生から、学生たちはこれまで中央省庁や都庁、自治体などで実地に話を聞いたことはあるが、分野ごとだったので、本日のような市の行政丸ごとについて話を聞くことができる機会は初めてでありがたい、という趣旨のあいさつがありました。

 双方のあいさつの後、研修担当の人事課長補佐から本日の日程についての説明が行われました。

 引き続き、研修1として市長から湖南市政全般について、『地方自治の実態と理論 湖南市をケーススタディとして』と題して講義を行いました。

《地方自治は日本国憲法第8章に規定されておりますが、そこでは、地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて法律で定めるとされ、地方自治の本旨とは住民自治と団体自治だとされています。

組織運営に関する事項は地方自治法に書かれています。

また、地方公共団体に議事機関として議会を設置するとされておりますし、地方公共団体は、財産管理権、事務処理権、行政執行権、条例制定権を持つと定められています。

 地方自治法では、地方公共団体は住民福祉の増進を図ることを基本として、地域行政を自主的かつ総合的に実施するものとされており、普通地方公共団体は都道府県と市町村に分けられています。

そのため、わが国の行政は国、都道府県、市町村の3層構造で執行されています。

都道府県は広域にわたるもの、市町村に関する連絡調整に関するもの、規模性質で市町村が処理することが適当でないものを処理し、市町村は基礎的地方公共団体として都道府県が処理するもの以外の地域の事務他を処理するものとされています。

 団体自治について見てみると、湖南市にも議会があります。

議員の定数は条例で定めることとされており、現在は定数が18とされています。

ちなみに合併当初は旧石部町16と旧甲西町20を合わせて在任特例として定数36でした。

議会においては、地方自治法96条1項に議決事件が列挙されていますが、条例の制定改廃、予算の議決、決算の認定、一定額以上の契約締結、訴訟の提起などについては議会の議決権に服しておりますので、実は日本の地方自治において首長の権限というものは意外と強くないことがわかると思います。

首長側に専決権や再議権はあるものの、議会側が調査研究を徹底して臨めば、首長を凌駕することは可能であり、現在、全国で議会改革が進んでいます。

 議会が議決機関として方向性を議決すれば、それに対して首長以下執行機関が事務を執行していくという関係になります。

地方自治法では、執行機関は、議会の議決に基づく事務などを自らの判断と責任において誠実に管理し、執行する義務を負っています。

その組織は多元主義と言われるように、明確な所掌事務と権限を有する首長、委員会、委員により系統的に構成されています。

湖南市においては、市長部局のほか、教育委員会、監査委員、公平委員会、固定資産評価審査委員会、選挙管理委員会、農業委員会が並立しています。

 また、首長は普通地方公共団体を統轄して代表し、事務管理と執行を行います。

その権限に属する事務を分掌させるために、条例により必要な内部組織を設けることができるとされています。

湖南市では、市長、副市長のもとに政策調整部、総務部、市民環境部、健康福祉部、建設経済部を配置し、市長のもとに会計管理者部局、地方公営企業としての上下水道部を置いています。

副市長や会計管理者、そして職員を補助機関と言います。

 教育委員会は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律により、教育長と4人の委員で構成され、議会の同意人事とされています。

平成27年4月の改正法施行により、それまで教育委員会を代表する委員長と事務局長としての教育長を一本化するとともに、首長と教育委員会で総合教育会議を設置することとされました。

 監査委員は2名、うち1名は議会推薦の委員となります。

ちなみに監査委員は独任制ですので、監査委員会とは言いません。

独任制の対義語は合議制と言います。

 地方公共団体の会計年度は4月1日から3月31日とされており、会計年度独立の原則があります。

それを一般会計と特別会計に分けますが、特別会計は条例で設置されます。

一会計年度の収入と支出はすべて歳入歳出予算に編入するという予算総計主義に基づき、首長が調製した当初予算案は、会計年度が始まる前に議会の議決を受けます。

また、決算については、監査委員の審査に付した後、監査委員意見を付けて議会の認定に付します。

 湖南市では、平成28年度当初予算は一般会計規模で227億1千万円、前年度比7%増の過去最大となりました。

これは、学校施設の耐震改築が2つ重なったものと駅舎の改築、午後から訪問していただきます農業振興施設「ここぴあ」

の新設、臨時特例給付金や子育て支援など必要とされる経費が膨らんだためです。

特別会計は、国民健康保険、国民健康保険診療所、後期高齢者医療、介護保険の4会計で、そのほかに地方公営企業法に基づく、訪問看護ステーション事業、水道事業、下水道事業の3事業会計があります。

 当初予算規模については、合併特例法に基づいて10年間は合併特例債の発行が認められるなど新市建設計画に基づく合併関連事業が実施されてきていますが、リーマンショックなどの関係もあり、その推移は必ずしもインクリメンタルなものとはなっていません。

 平成27年度会計決算では、一般会計は歳入総額が209億4千万円余り、歳出総額が204億8千万円余りで差引額が4億6千万円余りとされています。

財政は硬直化気味であり、経常収支比率は94.7%と県内で最も高くなっています。

財政力指数は3年平均で0.867と低いわけではなく、その結果地方交付税の歳入が少なく、財政調整基金も15億円と少ないなかで、何とかやりくりして予算の帳尻を合わせています。

今後も合併優遇措置の段階的廃止など、財政の厳しさは増すことはあれ、緩和は難しいのが実態です。

 さて、総論としてはこれくらいで、ここからは、通常の基礎自治体がどういう事務を担っているのか、どういう政策を展開しているのかについて、湖南市をケーススタディとしてお話していくことといたします。

 まず、湖南市独自の自治立法です。

条例制定権は地方自治法第14条で定められています。

自治体が独自政策を推進するに当たり、首長の執行権の範囲内で規則を制定し、自らの判断と責任において執行することは可能ですが、予算議決権を持つ合議制の機関である議会において制定される条例化を図るほうが、政策に安定性を加味することができます。

 湖南市においては、『湖南市地域まちづくり協議会条例』や『湖南市多文化共生社会の推進に関する条例』といった地域の自治に関する政策分野、『障がいのある人が地域でいきいきと生活できるための自立支援に関する湖南市条例』や『湖南市発達支援センター条例』といった障がい福祉に関する政策分野、『湖南市地域自然エネルギー基本条例』といった環境自治と地域エネルギーと地域経済を結びつける政策分野、『湖南市防災の日を定める条例』といった地域防災に関する政策分野などで独自条例を制定しています。

 次に計画行政です。

昭和41年(1966年)の地方自治法改正で『市町村は、その事務を処理するに当たっては、議会の議決を経てその地域における総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想を定め、これに即して行うようにしなければならない』と定められまして、基礎自治体は総合計画を定めて計画的な行政を行うようになりましたが、この場合の総合計画は基本構想と基本計画から構成されていました。

これは平成23年(2011年)の地方自治法改正で削除されましたが、総務大臣通知で議会の議決権を援用して策定することは可能であることとされています。

 湖南市においても総合計画を策定しています。

第1期総合計画は平成18年(2006年)から10年間、平成28年からは第2期総合計画の計画期間となっています。

基本計画は6つの分野から構成されており、それぞれの分野の幹となる計画が策定され、さらに実行的な個別計画がぶら下がっています。

このほかにも地域防災計画や国民保護計画、交通安全計画、景観計画、行政改革大綱、公共施設等総合管理計画、長期財政計画、定員適正化計画、特定事業主行動計画など専門的な計画も策定されています。

 ところで、総合計画と似ているもので、最近、『まち・ひと・しごと創生総合戦略』というものが全国の自治体で策定されています。

これは、少子高齢と人口減少社会を迎えながらも地方が活力を持続する、地方創生を進めるために平成25年(2013年)に制定されたまち・ひと・しごと創生法に基づき、国と地方公共団体に人口の現状と将来展望を提示するビジョンと今後5年間の施策の方向性を提示する総合戦略の策定が義務付けられたことによるものです。

 湖南市では平成27年10月に『湖南市きらめき・ときめき・元気創生総合戦略』を策定しましたが、人口ビジョンによれば、総人口のピークは過ぎており、20年前から少子化、現役世代も減少しつつあります。

国立社会保障・人口問題研究所の推計に準拠してこのまま推移すれば2060年には人口が2010年の63%である34442人まで減少するとされました。

そこで、現状と課題を整理し、将来に向けて出生率の向上と転出抑制転入増加という自然増、社会増を目指すとしています。

 取り組みをパッケージで展開し、政策効果として、合計特殊出生率を2030年に1.47から1.8へ、2040年には2.01へ上昇させ、社会移動を毎年150人の押し上げを図り、2060年の人口を48712人までと減少幅を抑えることとしています。

『働く場の創出プラン』、『ひとへの投資プラン』、『まちづくりプラン』を総合的に推進しますが、例えば面白い取り組みとしては、婚活パーティであるとか、女子高校生の感性をまちづくりに反映するJK課プロジェクトなどが進められています。

婚活パーティーでは、最初に仲人役の婚活コンシュルジェを養成したり、ときめきランブリングでは男女12人ずつで7組のカップルが成立しています。

JK課プロジェクトは正式な湖南市の課ではなくプロジェクト名で、スイーツや給食メニューを提案したり、動画を撮ったり、イベントやラジオ出演したりと、やりたい放題しています。

 地域といった場合に、自治の最小単位は集落、すなわち自治会ということになります。

湖南市では『行政区』と言っていますが、市内に43区があり、『区長』が『行政事務取扱員』として地域と市の連携を図っています。

ところが、最近では地域の年齢構造の変化や人口変動により、最小単位ではまちづくりを担いきれない場合がでてきました。

そのため、おおむね小学校区を単位として、広域でのまちづくりを行うべく平成19年度(2007年)から『地域まちづくり協議会』を地域で自主的に組織してもらいました。

今でこそ『地域医療』や『地域運営学校』、『地域包括ケア』、『地域防災』など、法律用語としても『地域』が定着してきましたが、ここでいう地域は、近年では課題解決型の住民自治としての『小規模多機能自治』の担い手であるとされ、規模としては小学校区を中心とする新しい公共の主体であるとされます。

 平成21年度(2009年)までに市内全域に地域まちづくり協議会が設置され、特色ある自治を展開していただいていましたので、平成26年(2014年)には地域まちづくり協議会条例を制定しました。

そこでは、『自分たちのまちは自分たちでつくる』という基本理念のもと、地域福祉や最近はやりの子ども食堂を含む子どもの健全育成、地域防災、地域活性化、地域課題の解決などを担っています。

 例としては、地域のアイデンティティとしての石の彫刻をみんなでつくったり、放置竹林にバンブーハウスをつくったり、学校を利用した震災時の避難所運営訓練をしたり、認知症予防対策をしたり、旧東海道を利用したウォーキングイベントを実施したり、子どもたちのまちづくり参加を促したり、松竹新喜劇とコラボして市民劇団が公演をしたりしてまちが活性化しています。

 人権分野で言えば、『21世紀は人権の時代』と言われながら、無差別殺人など生命を軽視する事件が相次いでいますし、差別や虐待なども後を絶ちません。

湖南市では人権擁護総合計画に基づき、同和問題をはじめ、女性、子ども、高齢者、障がいのある人、外国人などが侵害されがちな基本的人権の擁護に対する対策を講じています。

そうしたなかで、最近注目されているのが女性の活躍です。

安倍内閣で制定された女性活躍推進法が平成28年4月から施行されましたが、子育て世代を支え、働く場面で活躍したいという希望を持つすべての女性が、その個性と能力を十分に発揮できる社会を実現することとしています。

 湖南市においては、昨年3月10日に市長がイクボス宣言を行いました。

イクボスとは、仕事と家庭生活の両立に向け、女性が活躍しやすい環境づくりや部下のワークライフバランス(仕事と生活の両立)を考え、自らも仕事と私生活を楽しむことができる管理職(イクボス)のことを言いますが、4月に入ってからは全幹部職員もイクボス研修を受け、イクボス宣言をしました。

イクボスはどうしても子育て支援と狭く考えられがちですが、もともと社会的マイノリティの就業機会を拡大するための言葉であったダイバーシティを目指すということもあり、湖南市では子育て支援だけでなく、介護支援や本人の障がいにも個別に対応しています。

 また、平成2年(1990年)の出入国管理及び難民認定法改正で日系3世の人に定住者の資格が与えられました。

湖南市には湖南工業団地の造成と合わせて整備された社宅団地が空室となったところを人材派遣会社が日系3世の住まいとしたため、最盛期には人口の6%以上が外国籍市民となりました。

この後、『多文化共生グループ』で詳しく話を聞くことになりますが、言葉や文化の違いから住民との摩擦が大きく、学校現場の崩壊や自治の危機に直面しました。

この時期には外国人集住都市会議に参加して、国に対する強力な働きかけを行いながら、多文化共生という内なる国際化に取り組みました。

今では最も多い南米系外国籍市民に対する母国文化の教育を行うまでになっています。

 人材育成という観点では、合併直後の平成17年度(2005年)から25年度まで、課長級職員を1か月間、市内企業に放り出すという荒療治による民間派遣研修を行ったり、中堅職員を滋賀大学での1年間研修に送り出したり、若手職員を中央省庁に送り込んだりしています。

平成20年以降、湖南市から厚生労働省には4人、内閣府には2人、文部科学省には3人、国土交通省には2人を派遣し、総務省所管の全国市町村国際文化研修所に4人、地域活性化センターに1人派遣してきました。

逆に厚生労働省からは3人、国土交通省からは2人、文部科学省からは教育長として1人派遣されてきました。

滋賀県や友好交流都市である鳥取県北栄町との間でも職員のやり取りをしています。

 また、行政改革については、現在、『第3次行政改革大綱』に基づいて、『税の更なる有効活用』、『自主財源の確保と公平な受益者負担』、『市民主体の仕組みづくり』の3本の柱のもと、人件費の抑制、物件費の削減、補助費等の見直し、繰出金の抑制、市税徴収率の向上という5つの数値目標を設定し、その取り組みの中核を公共施設の再編成に置いています。

とりわけ、平成28年3月に『湖南市公共施設等総合管理計画』を策定し、老朽化施設の見直しを進めています。

 危機管理という側面からは、平成25年(2013年)に湖南市防災の日を定める条例を制定しました。

防災には風水害対策、震災対策、原子力災害対策の3つの対策がありますが、地震や原子力災害はいつ起きるか分からないものの、風水害は起きそうな時期は出水期に限られます。

そのため、260年前に市内で大規模な土石流災害のあった日を湖南市防災の日と定め、防災意識の高揚や防災対策の推進に努めています。

 訓練としては南海トラフ地震を想定した総合防災訓練やシェイクアウト訓練、風水害を想定した災害警戒本部設置以降の初動対応訓練やHUGすなわち避難所運営ゲーム訓練などを行っています。

そのために、地域防災計画を立てたり、マニュアルを整備しています。

また、市民の間で防災士を育成したり、自主防災組織を市内全域に設置したり、防災備蓄倉庫を配置したりするとともに、防災マップを全戸配布、出前講座をしたり、防災用ドローンをいち早く2機導入して運用したりしています。

様々な団体と応援協定を結んだり、防災行政無線や緊急速報メールなどの情報伝達手段を整備したりする一方で、東日本大震災、熊本地震、鳥取県中部地震などに職員を応援派遣しました。

 消防事務については、隣の甲賀市と一部事務組合を組み、共同運営しています。

甲賀広域行政組合では、そのほかにごみ処理やし尿処理などの衛生事業も共同事務としています。

 危機管理という意味で言えば、湖南市には平成7年(1995年)に地下鉄サリン事件を起こした『オウム真理教』の施設があり、過去、全国の地方公共団体が住民票不受理対応をしましたが、最高裁判所で違憲判決が出ましたので、現在は受理して信者が住民として住んでいます。

滋賀県内には甲賀市の2施設と併せて『アレフ』の3施設がありますが、湖南市の甲西施設には西日本の最高幹部が拠点として活動しています。

上祐史浩の率いる『ひかりの輪』と合わせて、国内出家信徒300人、在家信徒1350人、ロシア信徒160人を数えています。

公安警察と公安調査庁がマークしており、破壊活動防止法が適用できなかったため、平成11年に成立した無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律に基づいて観察処分が重ねられています。

湖南市としては『』してオウム真理教対策市区町連絡会』に加入し、団体の解散を求めて活動を行っています。

 さて、この後、『環境グループ』で詳しく話を聞いていただく地域エネルギー政策ですが、平成24年に湖南市地域自然エネルギー基本条例を制定しました。

これは、地域自然エネルギーを地域固有の資源であるとし、地域経済の活性化につなげて地域社会の持続的な発展に寄与しようとするわが国で初めての条例でした。

究極はエネルギーの域内経済循環化を目標にしており、平成27年(2015年)2月に湖南市地域自然エネルギー地域活性化戦略プランに基づいて、小規模分散型市民共同発電や公共施設への率先導入、小水力発電の実証実験などに取り組んでおり、平成27年度に総務省や経済産業省と研究を重ねてきましたので、これからバイオマスやスマートグリッド、地域の強靭化計画にも展開していく予定としています。

その具体的な姿の一つが、昨年5月に設立された近畿で初の官民連携による地域新電力会社こなんウルトラパワー株式会社で、市役所の電気代が1000万円以上安くなった挙句、売買益を地域づくりに回していくこととしています。

 次に、保健医療福祉について少しお話します。

すべてお話ししますといくら時間があっても足りませんので、概略と湖南市の特徴について触れておきます。

湖南市の総合計画の章立てから言えば、健康づくり、医療充実、子育て支援、障がい者自立支援、高齢者自立支援、地域福祉となっています。

 健康づくりとしては、『健康こなん21計画・食育推進計画』を策定し、生涯を通じて人が輝ける健康なまちづくりを進めています。

とりわけ、寝たきりにならず、健康寿命の延伸を図ることにより、障がいや疾病を予防して生活の質を高めることとしています。

保健師や栄養士などを中心に、健康づくりの目標設定とアクションを展開しておりまして、過去には私もメタボ退治を宣言させられ、4か月で12キロ体重を落として脱メタボしたこともありました。

残念ながら現在はリバウンドしています。

 また、各種健診で疾病を事前に予防していますし、地域医療体制としては、平成26年に成立した医療介護総合確保推進法に基づきまして、これまでは国が一元的にコントロールしてきた医療提供体制を地域医療政策の一環として都道府県の仕事としています。

湖南市においては、市内の一次診療施設、お隣の甲賀市と一部事務組合という特別地方公共団体で共同経営する公立甲賀病院を二次診療施設とし、そして三次診療施設に栗東市にある済生会滋賀県病院、大津市にある滋賀医科大学病院などとの病病連携を進めています。

 子ども・子育て支援については、平成27年(2015年)から子ども・子育て新制度が導入されました。

少子高齢と人口減少を受けて、子育てを社会全体で支援していくという目的で、『質の高い幼児期の学校教育・保育の総合的な提供』、『保育の量的拡大・確保』、『地域の子ども・子育て支援の充実』に向けた取り組みを行っています。

例えば、湖南市でも、子育てをみんなで支えるために、親育ち・親のサポートや仕事と育児の両立支援、地域で支える子育て、頼れる子育てなどの制度を取り入れ、特に親を育てるという観点から思春期の保育体験学習を行ったりしています。

また、子育ての多様なニーズに応えるために、教育・保育の充実や人材確保、特別な支援を必要とする児童へのサポート、そして多様な子育て支援の充実などを行っており、とりわけ、児童の虐待防止は喫緊の課題として、要保護児童対策地域協議会をフル活用して対応をしています。

環境づくりの面からは、親子の健康支援、子育てへの男女共同参画、若者育成、安心安全環境整備など、子ども・子育て支援については、幅広い分野で現在急ピッチに整備が進められています。

 そして、障がい福祉です。

ここは今回のグループ別研修に上がっていませんが、湖南市の大きな特色分野です。

わが国知的障がい者の父として知られる糸賀一雄が終戦直後につくった近江学園が現在では湖南市内にあり、地域には糸賀一雄の『この子らを世の光に』という福祉理念と思想を身に着け、実践する人がたくさんいます。

時間の制約があるので詳しくはお話できませんが、湖南市で糸賀思想を引き継ぐ人たちの活躍により、それまで措置と言って憐みの対象であった障がい福祉が、障害者自立支援費という障がい当事者が自己決定し、自己実現できる仕組みに大きく変わったり、湖南市でシステム化をした発達障害のある子どもたちに対する発達支援システムが、そのまま発達障害者支援法のスキームとして取り上げられて全国に義務付けられたり、その枠から就労と自立という取り組みが加速化したりし、湖南市の取り組みが国全体の障がい福祉行政に大きくコミットしてきた歴史があります。

 発達支援システムは、支援の必要な人に対して、乳幼児期から学齢期、就労期まで、教育・福祉・保健・就労・医療の関係機関を連携させ、個別指導計画で時間軸を追いかけるという当事者本人にカスタマイズされた支援サービスをシームレスかつ適時適切に提供する仕組みです。

おそらく全国的にうまくいっているところは少ないのではないかと思われ、湖南市への視察が止みません。

湖南市では市長部局に教員が、教育委員会に社会福祉士がクロス人事されており、発達支援センターを司令塔にして両者の円滑な連携が実現されています。

そして、ここでも新しい政策については、自治立法をつくっています。

平成18年(2006年)に制定した『障がいのある人が地域でいきいきと生活できるための自立支援に関する湖南市条例』で、特徴的に『さりげない支え合いのまちづくり』という文言を入れましたが、最初議会筋にウケが悪かったことを思い出しますが、今になってみれば、障害者権利条約に規定される『合理的配慮』と同じ意味であったことに感慨を覚えています。

平成28年4月からは障害者差別解消法も施行されました。

 すでに高齢者が4人に1人という時代を迎えてしまいました。

政府においては、高齢者の定義を65歳から75歳以上に変更しようという検討までされています。

人生100歳時代と言われるようになり、これまでの高齢者に対する見方が変わってきました。

高齢者福祉の分野では介護が課題となってきます。

平成12年(2000年)から介護保険法により全国の市区町村では介護保険事業計画を策定し、計画的に介護の社会化を進めてきました。

しかし、いわゆる団塊の世代が後期高齢者になろうとしており、制度の限界が見えてきました。

それは医療の側も同じことであり、医療介護総合確保推進法に基づき、地域包括ケアシステムが法定化されました。

医療は医療、介護は介護、生活は生活と分けるのではなく、高齢者が住み慣れた地域で住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供されるように施策をシームレスにつなごうというものです。

先ほどの発達支援システムのように、当事者を中心に関係機関がシステムでつながって本人に最適なサービスを提供するというものとなります。

それを現場で回していく司令塔が地域包括支援センターということになります。

社会福祉士やケアマネージャー、保健師などがチームで当事者に対応します。

 そのほか、保健医療福祉部門での課題としては、これまで市町村が保険者として取り組んできた国民健康保険の財政運営責任が平成30年度(2018年)から都道府県に移管されるということや、平成20年度(2008年)から75歳以上の後期高齢者だけ医療保険を切り離した後期高齢者医療制度ができ、全国の市町村は都道府県単位で広域連合をつくって対応していること、平成28年度から生活困窮者自立支援制度がスタートし、市町村において窓口を設けて対応をしなければならなくなったというようなことがあります。

また、実は湖南市は平成24年(2012年)10月に、吉本興業100年の歴史始まって以来、初めて自治体として包括的協力協定を結びました。

笑いを通じて人と人とのつながりを強くしていこう、すなわち『心のインフラ』づくりを一緒に進めていこうということです。

 さて、地方自治はソフト対策ばかりではありません。

ハードのインフラ作りも重要な仕事です。

今から10数年前は市内のいたるところが渋滞だらけでした。

その後、国道1号バイパスが整備され、市内道路網をはしご上に再構築するとともに、市域の南北を分ける野洲川に、次々と橋を架けていきました。

昨年3月には国道1号が名神高速道路栗東湖南インターチェンジに直結してさらに利便性が高まりました。

道路の整備は車を通じて、ヒトやモノ、カネ、情報が流れることになります。

幹線道路としては国や県が整備し、生活道路を市町村が担当するという役割分担がありますが、自動車の流入量が多すぎてなりふり構わず整備を進めてきた結果でもありました。

 この道路を利用して、周辺の土地利用も変わってきました。

圃場整備済みであった農振農用地10ヘクタールを市街化編入を行い、イオンタウン湖南という大きな商業集積が生まれました。

また、午後から視察に行っていただきますが、そこに市民産業交流促進施設『ここぴあ』という今後の農業を戦略的に展開するための拠点施設をつくりましたが、あわせて『みらい公園湖南』という新しい農業公園を整備して、高齢者を農地に投入していきたいと考えています。

一方で、道路網や産業集積を利用して、内陸の国際港湾を整備するプロジェクトも少しずつ動き始めています。

インランドデポを整備して、阪神港湾、中京港湾、北陸港湾に、ちょうどそれぞれ100キロ圏であるここを起点にアクセスできないかという構想です。

湖南市は湖南工業団地をはじめ、第2次産業が盛んなまちですので、地域に付加価値を増やすことにもつながります。

 観光政策としては、合併後、国宝3カ寺を『湖南三山』と称して大々的に売り出しましたが、総務省によれば合併効果がすぐに出た全国的にも珍しい事例でした。

また、市内にある犬猫を察処分してマイナスイメージの動物保護管理センターを逆手に取り、平成23年(2011年)から仮想都市こにゃん市を立ち上げて、動物愛護と観光振興を進めています。

リアルこにゃん市の政策としてコミュニティバスのネコバス化もしてしまいました。

さらには、三雲城に猿飛佐助は実在したというPRや少し老朽化してきた十二坊温泉施設を地方創生拠点施設準備交付金でリニューアルして地域活性化につなげようという動きも出てきています。

 さらに重要なインフラとしては、上水道と下水道があります。

両事業は地方公営企業法の全部適用による企業会計で運営されています。

特に下水道については平成28年度からの企業会計移行でした。

上水の95%は琵琶湖の水をくみ上げている滋賀県企業庁から購入しています。

また、市の運営する公共下水道については、県の運営する流域下水道に接続し、琵琶湖岸の終末処理場で処理しています。

すなわち、湖南市は琵琶湖と離れているといえども、水の循環ではびわ湖とつながっていると言えます。

 初等中等教育につきましては、義務教育国庫負担ということで、国庫支出を受けた県費教職員が中心となっています。

そのため、県教育委員会が市町教育委員会間の異動人事を所管し、市に割り振られた後は市教委の裁量となります。

『楽しくて力のつく湖南市教育』ということで、この後『教育グループ』で詳しい説明を聞くこととなりますが、私が首長となった14年前は、外国籍児童生徒、発達障がい児、貧困児童生徒、生活指導の必要な生徒などで、教育現場はどこもかしこも学級崩壊をしていました。

そこで、まずは県教委と折衝して優秀な教員を投入してもらうこと、発達支援システムによる個別支援の充実、コミュニティスクールや学校支援地域本部といった取り組みにより学校を地域で包み込んでもらうこと、外国籍児童生徒に対する日本語初期指導教室の開設、少年センターの設置による生徒指導の強化など粘り強く対策を重ねることにより、現在では平成29年度文部科学省初等中等教育局予算の多くが湖南市の取り組みをトレースしたものに置き換わってしまいました。

発達障がいのある児童生徒の通級指導の強化拡充、外国籍児童生徒指導の強化拡充、コミュニティスクールの推進、教員の指導力の向上などは、湖南市がこれまで取り組んできたことでした。

 一方、文化やスポーツを含めた生涯学習も教育委員会の仕事の一つです。

とりわけスポーツについては、競技スポーツだけでなく、いつでもどこでも誰でも取り組むことができる生涯スポーツがその主流を占めつつあります。

地域資源ということでいえば、ボクシングWBC世界バンタム級チャンピオンの山中慎介選手は湖南市出身で、3月2日に12回目のタイトル防衛戦を国技館で戦います。

 地方六団体という言葉があります。

全国知事会、全国市長会、全国町村会とそれぞれの議長会ですが、この6団体は内閣との交渉権を持っています。

国と地方の協議の場というものも平成23年(2011年)に法定化されました。

こうした組織を通じて地方の生の声が国の政策にダイレクトに反映される時代がやってきたということです。

 全国市長会は9つの支部に分かれています。

支部はそのままブロック市長会となり、そのなかに府県市長会を含んでいます。

湖南市の場合、滋賀県市長会の一員として、近畿市長会すなわち全国近畿支部に所属することで、全国市長会を構成することになります。

 その一方、地方公共団体の側から国へ意見を通しやすくなると同時に、国から地方公共団体への関与はルール化され、制限されることとなりました。

 最後に、これまで湖南市をケーススタディとしながら、関係法令や中央政府の方向性などを加味して観察した結果、簡単にふたつの結論を提示したいと思います。

① J・S・ミルのいう『権力は地方に与えられるが、知識は集権化される』所見が、平成12年(2000年)のいわゆる地方分権一括法による機関委任事務廃止後の中央地方政府関係に見ることができる。

湖南市の発達支援システム、地方教育改革、地域エネルギー政策をはじめ、野洲市による生活困窮者自立支援、大津市のいじめ対策など、地方発の政策が増えてきた。

お金の流れが弱くなる一方で、中央は地方の知恵を集め、それを広く地方に広げる媒介役となりつつある。

地方創生施策はその最たるものであろう。

② 従来の理論においては、近代国家において政府と民間活動は原理的に峻別されてきたが、福祉や教育、環境など公共の役割拡大だけでなく、その担い手として国家と社会の中間ゾーンにおいて種々の公益達成を担う活動が増えている(グレーゾーン理論)。

それを第3セクターのような中間組織ではなく、『地域』という新しい公共が担うことが実態上も、政府による期待上も明らかとなってきた。

》  やはり、事前に時間調整をしたうえで、時間的に余裕を見ていたにもかかわらず、話し始めるとあれもこれもとなり、結果的に少し講義時間をオーバーしたので、質疑応答は夕方に一度にお請けすることとし、10時40分からは研修2として、3つのテーマに分かれたグループ別研修となりました。

 環境グループ5名については、『地域自然エネルギーの地域経済循環』と題して、地域エネルギー課から詳細な説明を受け、最後には質疑応答をしていました。

 教育グループ4名については、『楽しくて力のつく湖南市教育』と題して、教育長と学校教育課から詳細な説明を受け、最後には質疑応答をしていました。

 多文化共生グループ5名については、『いろんな文化が響き合う 一人ひとりが笑顔でいられるまち』と題して、人権擁護課から詳細な説明を受け質疑応答するとともに、その後、湖南市国際協会に移り、国際協会からさらに説明を受けていました。

 12時となり昼食時間を迎えると、多文化共生グループは人材派遣会社である㈱インフィニティサービスに移動してブラジル料理の昼食を取りながら、自らも外国籍市民である社長などからさまざまな経験談を聴きました。

また、環境グループと教育グループは、ささやか系ダイニング『がむしゃら』へ移動し、障がい福祉施設でのカレーバイキングを賞味しながら、食後に教育グループが移動したのを受けて、社会福祉法人グローからこにゃん支え合いプロジェクト推進協議会や障がい福祉施設についての説明を聴きました。

また、現地でコナン市民共同発電所初号機を見学するとともに、障がい者支援施設『バンバン』を現地視察しました。

『がむしゃら』を後にした教育グループは、市立三雲小学校に移動し、『特別支援教育』をテーマとして学校教育課から詳細な説明を受けるとともに、『ことばの教室』の現地視察を行いました。

多文化共生グループはインフィニティサービスから市立岩根小学校に移動し、『日本語初期指導教室について』をテーマとして人権擁護課から説明を受けるとともに、日本語初期指導教室『さくら教室』を現地視察しました。

 それぞれのグループ別研修を終えた稲継ゼミのみなさんは、15時30分にイオンタウン湖南内にある市民産業交流促進施設『ここぴあ』に集合しました。

ここで研修3となり、『湖南市における農業振興―みらい公園湖南を中心とした農業戦略の推進-』をテーマとして、産業振興戦略局から詳細な説明を受けるとともに、『ここぴあ』の現地視察を行いました。

 17時には市役所に戻るとともに、市長からあいさつを行い、稲継ゼミ代表からお礼のあいさつをいただいて、研修会は終了しました。

みなさん、大変お疲れさまでした。

関係した職員のみなさん、ありがとうございました。

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