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成人式を終えて

昨日の成人式では、式典終了後も残ってアトラクションに参加してほしいと実行委員会に言われたので残ることになった。

14年やってきて初めてのことだった。

それまでは、ここ数年は落ち着いているものの成人式は常に荒れるので式典は15分だけ、あとは新成人たちだけでアトラクションを楽しんでねというわけだった。

それが初めてアトラクションに市長が招かれたのである。

役割は大抽選会の3位から1位までのくじ引きとプレゼンテーター。

静かな会場で最前列からお調子に乗っているひとりを確認しながら、壇上にさっそうと駆け上がった。

最前列の彼は式典でもわざと国歌や市歌を調子を外して歌っていた。

歌わない連中が多い中、歌うだけでもいいかと我慢していた。

ステージ上でボックスの中のくじを引こうとすると、最前列の彼は『オレのを引いてくれ〜』と声を上げる。

当然のように当たらない。

呼ばれた人が少しモタモタしていると、早く取りに行けというような雰囲気に満ちた。

景品を取りに来た若者に巨大なクッションを手渡す。

そして実行委員が当選者にインタビューを試みる。

引き続いて2位のくじを引いた。

名前を呼ぶが返事がない。

おかしいなと思って再び名前を呼ぶが、会場には当選者は早く出てこいというような雰囲気はまったくない。

不思議な感じだ。

実行委員に指摘されて会場中央付近を見ると、ベッドに寝たままの青年とその保護者らしき姿を認めた。

迂闊だった。

新成人たちは彼の名前を知っていたから静かに見つめていたのだろう。

慌ててステージを飛び降りて、会場中程まで駆け寄り、ベッドで参加していた重度心身障害の青年に『おめでとうございます』と声をかけて、保護者に景品を渡した。

実行委員によれば、景品はなんばグランド花月の招待券とファミリーレストランのサインだそうだ。

一緒に記念写真におさまった。

さて、1位である。

相変わらずお調子者の最前列の彼は『オレに当ててくれ〜』と声を上げている。

そこで、ドラムが鳴り始めた瞬間、ステージ上から彼を手招きした。

虚を突かれた彼はなんの警戒もなくステージに上がり、抽選箱に手を突っ込んだ。

1枚の札を掴んだ彼の手からそれをもぎ取り、当選者の名前を読み上げた。

自らの力で見事に抽選から外れた彼は、ステージ上から客席に飛び降りてことさらにズッコケたパフォーマンスを繰り広げた。

周りに笑いが満ちた。

笑いが取れて彼は満足したようだった。

アトラクションも無事に終わり、実行委員と記念撮影をした。

今年の成人式が極めて静かだったのは、『大人の行動を』、『式典中はお静かに』と会場中に張り出した彼ら彼女らの発想と、それに協力した新成人たちの賜物であったことに気がついた。

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