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楽しくて力のつく湖南市教育

今から13年前。

外国籍児童生徒の急増を現象として把握できないまま、過去からの不良素行や不登校などとあわせ、このまちの学校現場はあちこちで崩壊していた。

実は湖南市出身の教職員をすべて集めても市内の教員定数の3割を満たすに過ぎず、市外出身の教職員は不可欠であった。

しかし、市外出身者は『教育困難地』であるこの地への赴任を希望しなかった。

当時は県教委との意思疎通が全くできておらず、その結果、指導力不足の教員が集まることとなり、現場の崩壊に拍車をかけていた。

そのことに気づき、就任してすぐ、新たに選任した教育長とともに県教委の職員一人ひとりに頭を下げて回った。

首長が県教委の職員に頭を下げに来たことは過去になかったと驚かれた。

しかし、なりふりは構っていられなかった。

なんとか教員の指導レベルを均質化できるまでには、7年という気の遠くなるほど長い歳月を要した。

それに加え、外国籍児童生徒の急増を現象として把握した後は多文化共生の取り組みを始め、地域や企業、行政などの支えを学校に投入した。

軽度発達障がい児に対しては、障がいの早期発見に努め、生まれたときから医療・福祉・保育・教育が連携し、多職種がイントラネット内でリアルタイムに対象児の状況を共有できる発達支援システムが活用された。

不登校児童生徒には適応指導教室が、不良素行児童生徒には少年センター(あすくる湖南)が設けられた。

文部科学省のキャリアから教育長を迎え、本来であれば人口30万人以上の中核市以上に義務付けられる教員研修を、5万5千人の湖南市の独自施策として展開し始めた。

若手教員もベテラン教員も時間外にともに気楽に学び合う場を設けたり、夏休みに任地を離れて東京で合同宿泊研修をする場を設けたりしながら、教員の教育技術を磨き続けた。

学校現場を教委が支え、教委を市長部局が支えることとして教員をひとりにしない取り組みを進めた。

モンスターペアレントも校内暴力も教員をひとりにすれば事態が悪化するまで隠ぺいするだけなので、『チーム学校』で一人ひとりの教員を支えるようにした。

学校ごとの競争的資金を準備し、職員室が目的を持って一つにまとまるようにした。

いじめや校内暴力などの学校現場での変化は逐一教委に報告を上げさせた。

隠ぺいして報告が上がらなければ支えようがないからだ。

そして、教委に上がった報告は毎朝の会議で教育長から市長・副市長に伝えられた。

教委には人事権と予算権がないからだ。

人的措置、財政的措置は迅速に行われるようにした。

いじめに対しては、子どもたち自身に考えさせるとともに、教員と子どもたちとの信頼関係を醸成し、さらに学校内に地域の目を入れて防遏した。

すべての小中学校が学校支援地域本部を有し、多くの小学校ではそこにコミュニティスクール(地域運営学校)を併設して学校運営に地域が参加している。

昨年度からは、現在の教育長が『授業の湖南市スタイル』と称してすべての小中学校、すべての教科で授業スタイルを統一した。

教える側も教えられる側も学習の仕方が統一され、学習内容だけに集中できるようになった。

さらに、『チーム湖南』で教育を進めるべく、市内教職員が一堂に会しての大宴会も行われた。

合理的配慮を伴うインクルーシブ教育を行うための基礎的環境整備は、湖南市ではすでに整備済みだ。

家庭の崩れを支えるための福祉的アプローチとして、全国で初めて社会福祉士を正規職員として教委に配置した。

福祉と教育の連携から融合に到達した。

先月の卒業式はどの小中学校でも厳かに挙行された。

昨日は退職・管外転出教職員を送ったが、今日の新規採用教員に加え、転入教職員を迎えるにあたり、教育長は『湖南市を希望する先生方が多すぎて、お断りしなければならなかった』とあいさつした。

13年前に教育困難地であったこのまちが、今や選ばれるまちにまで育ったのである。

涙を禁じ得ない。

教育長は『楽しくて力のつく湖南市教育』の構造図を、教委だけに留まらず、すべての学校現場で共有させたが、それだけでは飽き足らず、地域の施設にも貼りだし、市民と共有してスクールコミュニティを定着させたいと意気込んでいる。

教育長は言い放った。

『湖南市教育の全体を包んでいるのは『いのち・人権』だ.そこだけは譲れない.しかし、子どものいのちと人権にかかわらないことはいくら失敗してくれてもいい.責任は私がとる』と。

ここまでくれば、湖南市の教育現場は、もう崩れたりしないだろう。

まさに隔世の感がある。

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