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外国籍市民政策の現場から2011(5・完)

【再び教育問題】 また、山下議員には、私から全国一斉学力テストについての話があったと次のようにブログに書かれています。

《谷畑市長は、『全国一斉学力テスト「で湖南市の平均点が下がるのは当然で、テスト結果を序列化して公表するようなことがあれば湖南市は『全国一斉学力テスト』から離脱すると宣言しているとのことでした.たいした識見です。》(2009年05月19日) これには少し解説が必要です。外国人の子どもたちは一斉学力テストを配られても、全部日本語で書かれているために、十分に読むこともできず、ほとんどが白紙で提出していました。30人もいないクラスで5人も6人もが白紙で答案を出せば、テストの平均点を出すこと自体が極めて無駄な行為であるだけならまだしも、優秀な子どもたちがたくさんいる学校に『ダメ学校』の烙印を押すことになり、保護者の学校忌避につながるのです。これでは、学校を適度な競争状態に置いて改善努力を求めようという政策意図と正反対の結果を招来します。そのため、知事以下滋賀県幹部と市長会の意見交換会の際に、前の長浜市長が一斉テストの結果を公表して教育に競争原理を導入するべきだと知事に迫ったのに対し、『競争はスタートラインが揃って初めて有効だが、現状を見ればそこまで到底辿りつけていない.今の滋賀県の教育は最低だ!一斉テストの結果を公表するなら湖南市は離脱する』と発言、室内はしわぶき一つ聞かれず、誰ひとり反論はありませんでした。 大きな方針をたてても、現場で現実と直面して一つひとつ問題をなくしていかなければ、本当の意味での政策効果は現れない実例だと思います。今、大阪で教育界への政治介入が進められていますが、貧困の問題と絡むと、問題の根っこは外国人問題と相似形で、原因対策をしないまま数値上だけの対応をすると、誤った政策効果につながるのではないかと危惧しています(ただし、湖南市の自治とは直接関係しません)。 【東日本大震災への対応】 東日本大震災は、国や府県が機能しなかったところを、市町村が直接相互に支援をしあって補完した災害であったことが特徴であるといえます。 外国人集住都市会議では、その前年の平成22(2010)年11月8日、28市町で『災害時相互応援協定』を締結しました。被災自治体の要請に応じて通訳を派遣することなどが取り決められました。 平成23(2011)年3月11日に起きた東日本大震災では、この協定が生きる初めてのケースになるはずでしたが、幸いなことに応援を必要とする自治体がなく、相互応援は発動されませんでした。 【多文化共生推進プラン】 現在、湖南市では、『多文化共生推進プラン』の策定準備にかかっています。 平成20(2008)年に外国人市民会議を設置したことは先述しましたが、その結果は、平成22(2010)年10月に取りまとまりました。公文書の多言語化や子どもの教育など最終提言が提出されたのです。 これを受けて、平成23(2011)年9月に湖南市多文化共生推進プラン策定委員会を設置しました。その前には、6月に日本人を対象にしたアンケート調査を実施しました。これで、外国人アンケート、外国人市民会議報告、日本人アンケートと、議論の材料は揃いました。年度末までに計画を策定し、議会3月定例会に多文化共生推進条例案を提案する予定です。 【現在の取り組み】 現在の湖南市の取り組みをまとめておきます。 日本語初期指導教室『さくら教室』は、湖南市国際協会に運営委託をして、現在も続いています。 外国人への情報提供の多言語化は、優先順位をポルトガル語、スペイン語、中国語、英語の順で対応しています。広報誌やHP、通訳、翻訳などに加え、市内地図やごみ分別マニュアル、けがや病気のときのために、外国人住民便利帳、地震災害時お役立ちシート、避難所一覧などの『転入セット』も多言語化して準備しています。 これらの取り組みは多言語化ということですが、日本語をやさしく言い換えることで分かりやすく伝えるということも大切で、例えば『頭上』を『頭の上』に、『通れないことはない』を『通ることができる』に書き換えて情報提供をしています。 また、『文化の通訳』といって、外国人のうち希望者に日本の生活や文化を学んでもらい、身近な人に伝えてもらう取り組みも行っています。さらには、生活オリエンテーションとして、市内各地でごみ分別や市役所での書類の出しかたなどの情報伝達もしています。 【今後の課題】 最後に、これまでの調査から見えてきた意識の違いを示します。 外国人市民にとっては、『話すと聞く』と『読むと書く』では大きな違いがあること、行政用語や敬語や方言が理解できないこと、日本人の常識や習慣がわからないこと、母国と日本の教育制度の違いに戸惑い、自治会に初めて出会って考え、地震の怖さがわからず、『お腹がどう痛いのって聞かれても・・・』答えようがないという実態が見えてきます。 日本人からは、外国人には日本語が話せないのかというのに自分は日本語しか話せなかったり、単なる出稼ぎで住んでいるだけと感じていたり、どうして簡単に離職するのかとか、自治会に入らないのかなど、疑問が一杯です。 行政からみれば、提供している情報が伝わっているかわからない、子どもたちの将来が心配だ、ちゃんと病院に行ってほしい、外国人だからじゃなく市民として行動してほしいなどの思いがあります。 こうした三者を丁寧につなげていく取り組みがこれからは必要とされています。 今年の外国人集住都市会議は、座長都市・飯田市で、11月8日に開催される予定です。(完)」

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