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外国籍市民政策の現場から2011(4)

【生活支援から就労支援へ】 平成21(2009)年の新年が明け、まだ松の内であった1月13日、私は現場確認のため、ハローワーク、人権センター、警察署、国際協会を順次訪問しました。

ハローワークでは来庁者でごった返し、所長が駐車場整理に出ている状況で、待ち時間は2時間から3時間40分ということでした。

人権センターでは年末に2人を保護したといい、警察では自転車盗や万引き、置き引きが増加していることを確認しました。

国際協会では、外国人は完全失業世帯が多いこと、大手派遣会社は最後まで住宅確保に対応する意向であること(日系の会長とは個人的に信頼関係を築いていました)、資金不足で帰国が進まないこと、個人情報と言葉の壁で実態調査が進まないこと、雇用対策は日本人と外国人を分けるべきことなどの指摘を受けました。

これらを分析して、翌14日、滋賀県庁を訪れ、湖南市長から滋賀県知事に、外国人住民に対する体制整備や帰国支援、子どもの教育支援、住宅対策、雇用対策について緊急要望しました。

これには裏話があり、最初は次長が出会うと言っていたものが、部長が出会うこととなり、副知事が出会うこととなり、県庁に着いてみると嘉田知事が待ち構えていました。

滋賀県は11月27日に外国人問題連絡会議を開きましたが、情報交換にとどまってきました。

対応の迷走も、まだまだ状況の逼迫に対する認識が深まっていなかったからでしょう。

また同じ日には、湖南市長から湖南市の商工会、工業会、湖南工業団地協会に、雇用の維持と非正規労働者が離職しても継続して社宅に住まわせるよう要望しました。

この写しは知事にも渡しておきました。

1月20日には、ハローワークが市内で再就職面談会を開催しましたが、ブラジル人OKの会社は27社中3社しかなく、しかも通訳なしだったので1件も成約がありませんでした。

そこで、翌21日からは、湖南市国際協会が、平日毎日、外国人のための就職サポート事業を開始しました。

これは、一旦離職した外国人が再就職しようとした場合に、スタート時点から、大きなハンディを抱えていたからです。

調査をしてみると、外国人求職者は、求人票が読めないこと、履歴書をローマ字でしか書けないこと、面接にTシャツ・ジーパンで出掛けること、面接官とタメ口で話すことなど、日本人求人者・求職者の常識と比較すると、スタートラインにすら立てていないことがわかったのです。

そこで、国際協会では、ボランティアの手を借りて、求人票の読み方、履歴書の書き方、面接にふさわしい服装、疑似面接訓練など様々な指導を行い、必要な日本語指導とあわせて、日本人でも就職が難しい時期に34人中10人の就職に漕ぎ着けました。

このあと、全国的な厚生労働省が外国人就労支援で日本語講座とあわせて生活指導をするようになりました。

1月23日には、湖南市国際協会が滋賀県国際協会などと協力して1月11、12日に実施した実態調査が取りまとめられました。

1件ずつ訪問調査を行ったのです。

48名のうちの多くが完全失業世帯で家族全員が失職していること、有職世帯と答えた場合も、1軒に2、3世帯が転がり込み、そのうちの1人が辛うじてアルバイトでつないでいるところもあったということがわかりました。

38世帯が帰国予定なしと答えましたが、その理由は渡航費用がないという後ろ向きの滞日でした。

また、完全失業世帯はセーフティネットに引っ掛かるものの1人でも働いていると支援がない実態も明らかになりました。

さらに、この調査では、対象者がすべて湖南市外での就職者であったことが明らかとなり、湖南市外で稼いで湖南市が生活サービスを提供している理不尽な実態も初めて確認されました。

【湖南市の事例が国会で取り上げられる】 2月1日には、4月募集予定の市営住宅入居を前倒し募集するとともに、緊急雇用対策として16名を募集し、うち6名を通訳として雇用しました。

さらには、16日には解雇等で住宅退去となった人向けの市営住宅緊急募集を行い、5戸中4戸に外国人世帯が入居しました。

2月23日には外国人集住都市会議から内閣府の特命担当大臣に緊急要望書が提出されましたが、これは1月9日に内閣府定住外国人施策推進室が設けられたためで、国も一歩前進をしていました。

集住都市会議としては、外国人政策の基本方針や外国人の子どもの教育に関する基本方針を示すように求めました。

3月16日には滋賀県市長会から定住外国人の支援に関する緊急要請を滋賀県知事に行いましたし、湖南市としては、18日に連合滋賀と対策について協議しました(政権交代前!)。

また、3月30日には、定額給付金の書類を送付する封筒に外国人市民アンケートを封入しま、4月末までに回収して、分析結果を施策に反映するようにしました。

こうした状況について、私は4月15日に開かれた湖南工業団地協会の講演でこと細かく説明し、各企業に協力を求めました。

以前の障がい者の就労支援でも協力要請し、快く手伝っていただいています。

湖南市のような課題をひとつずつ見つけては泥臭く解決していくような取り組みは、全国的にも珍しかったらしく、5月19日に日本共産党の山下芳生参議院議員が定住外国人調査に訪れた際に、1時間にわたって詳細説明したところ、6月30日の総務委員会で湖南市の事例を引き合いに質問がなされ、総務大臣から「外国人の受け入れは国に第一義的な責任がある。自治体の真摯な取り組みに敬意を表したい。さらなる財政支援を検討したい」

と答弁がありました(山下よしきブログ)。

(つづく)

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