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南海レスキュー28

昨日13時30分から15時まで、陸上自衛隊伊丹駐屯地および川西駐屯地で実施されていた『南海レスキュー28』に研修参加しました。

内容をとりまとめましたので、谷畑の文責でお読みください。

最初に伊丹駐屯地で『南海レスキュー28』の全般に関するブリーフィングがあり、その後、兵站調整所と施設調整所において、全国から自衛隊部隊が集結して運用される際に必要となる物資調達及び輸送と工事機械部隊の総合調整の状況を聴取し、演習全体を統裁している統裁部を視察、川西駐屯地に移動してICEシステムについて説明を受け、実働部隊である第3師団と第13旅団のオペレーションのようすを見学しました。

今年は4回目で、来年度の演習を経て対処態勢を確立していくということでした。

【ブリーフィング】 《中部方面隊の活動》 中部方面隊は昭和35年の創隊以来、2府19県を所管しており、2個師団と2個旅団隷下65部隊で構成されている。

近年、山林火災や水害など年間10件程度の災害派遣がある。

最近では府県の防災ヘリが充実してきたため山林火災の案件が徐々に減少してきている。

熊本地震に伴う災害派遣。

今年4月14日に発生した熊本地震に、中部方面隊はヘリコプターによる偵察隊を派遣した。

その2日後の16日、本震発生に伴い、中谷防衛大臣が災害派遣命令を出し、各種支援を行った。

6月上旬までの熊本地震の震央域をプロットしてみると、別府・万年山断層、布田川断層、日奈久断層で起きているが、震度7の本震を含め大きなものは布田川、日奈久断層帯から発生しているのがわかる。

5月下旬に沈静化し、熊本県知事から5月30日に撤収要請があり、災害派遣活動を終了した。

《南海レスキュー28の概要》 本演習・南海レスキュー28の概要について説明する。

南海トラフ地震の災害見積については、政府の被害見積によれば死者は30万人を超すとされ、この被害見積の7割以上に当たる26万人が中部方面管区内に集中している。

また、東日本大震災と同様に津波による被害が特徴であり、高知においては30メートルを超す津波が来ると予想されている。

これを受けて中部方面隊では南海トラフ地震に対する実効性を向上させるため、平成25年度から南海トラフ地震に対する防災演習『南海レスキュー』を開始し、5か年計画に基づき自治体等と連携して段階的に実施している。

今年はその4年目となる。

平成25、26年については東海・東南海・南海が同時発生するという想定で演習を行った。

昨年、27年度については、東海の単発型、今年度は再び同時発災、同時発生型を想定して訓練をしている。

昨年の南海レスキュー27では、総監部から三重県庁にリエゾンを派遣、三重県四日市市では警察に先導されて集結地に向かった。

南海レスキュー28の概要については、期間は7月2日から10日までの8日間、中部方面隊全域において実施している。

人員は5500、車両700、航空機10機という規模で、それに加えて自治体、警察、消防、アメリカ・オーストラリア軍も参加した大規模な演習。

演習については指揮所演習と実働演習に区分して実施している。

南海レスキュー28の枠組みは、東京市ヶ谷にある統合幕僚監部が統合防災演習28という指揮所演習を実施している。

これにあわせて中部方面隊も米豪軍の要員とともに実働、指揮所演習と同時に、中部方面隊独自で実働訓練を実施しており、これらを総称して中部方面隊では南海レスキュー28と呼称している。

全般日程は、5日火曜日午前10時13分の地震発生を演習の状況開始として8日金曜日までの間、東京市ヶ谷の統合幕僚監部とともに訓練を実施している。

防災演習の編成は、全体の統裁官は制服組のトップである統合幕僚長で中部方面隊と東部方面隊が主体となって演習している。

主体は陸上自衛隊だが、海上自衛隊、航空自衛隊も参加している。

演習全般シナリオは、震源地は和歌山県南沖でマグニチュードは9.1、震度は東海、紀伊半島、四国でそれぞれ震度7、津波はそれぞれ最大波高15メートル、人的被害は三重、和歌山、徳島、高知でそれぞれ甚大な被害が予想されている。

中部方面管区内においては18万名以上の被害者が出るという想定で実施をしている。

そのほかにも鉄道、空港、ライフライン、自衛隊施設の被害についても想定している。

指揮所演習については、伊丹駐屯地の方面総監部、各師団、旅団司令部のみ実設して作戦を立て、それぞれ守山、千僧、海田、善通寺駐屯地などの部隊、隊員はICEシステムというコンピュータシステム上で訓練する。

作戦で最も重要な指揮機関、人間でいう頭脳を効率的効果的に演練する。

各指揮所の活動を演練するとともに南海トラフ対処計画の検証をあわせて行う。

演習のシナリオとしては、発生時の初動対処を中心に指揮所活動を実施する。

方面隊指揮所演習の編成は、画面右側は演習部であり、方面総監部、師団旅団司令部以下各部隊指揮所がある。

左側は統裁部で状況付与やシステム管理、検証等の機能を持ち、全般をコントロールする。

状況付与の体制は市ヶ谷の統合幕僚監部が状況付与を一元的に統制している。

状況付与のツールについては、ニュース等を流すDVD、JETSSで米軍等の行動を現示、ICEシステムによる被災状況の報告や各部隊の活動状況を組み合わせて状況を付与する。

付与する場所は東京の市ヶ谷にある統幕統裁本部、朝霞の東方統制課、伊丹の中方統制課から部隊にそれぞれツールを用いて状況を付与していく。

ICEシステムを使用してできる訓練は3つある。

国土防衛作戦、不法行動対処、そして災害派遣活動である。

本演習においては災害派遣活動のツールを活用して災害時における人命救助、給水給食、瓦礫撤去等の訓練を実施している。

ICEシステムを使った訓練の流れは、訓練部隊である司令部については計画、命令を第一線部隊に与える。

第一線部隊は隷下部隊に命令としてシステム上で入力する。

入力された命令はICEシステムによりコンピュータで自動審判され、その結果は第一線部隊のパソコンの画面上に現れる。

それを得た第一線部隊はその情報を整理統合して上級部隊に報告する。

指揮系統トップダウンからボトムアップを繰り返して指揮幕僚活動を演練する。

第一線部隊は主として自分の部隊が報告するパソコン上の状況文により状況を確認する。

演習全体を統裁する統裁部、システム統裁課では部隊の情報、被害の細部の状況をくまなく掌握し、統裁上必要な処置を講じる。

ICEシステムの審判の要領、被害データの構成は、被害データを入力するためには大きく二段階に分かれている。

まず、地震動データは震源データと地盤データを組み合わせたもの、そして被害データを付与するためには地震動データと一般データを組み合わせたものが被害データとして部隊に付与することができる。

地震動データで震源地を和歌山沖と入力するとコンピュータが各地の震度を計算して出してくる。

被害データは地図上に部隊や被害の地域が表示される。

被害状況は統裁部ではシステム上見ることができるが、訓練部隊では直接見ることができない。

被害状況を見るためには、第一線部隊にドンドン命令を発して、システム上で地域に隊員を送り込んで、被害の詳細を明らかにしなければならない。

この作業が必要になる。

津波、危険物被害、人命救助や民生支援、防犯などが本システム上で訓練できる。

実働演習の目的は発災当初の初動対処を重点に、方面隊の兵站体制の確立、自治体等との連絡調整を重視して、対処時の緊密な連携に資する。

実働演習の概要は、発災当初の対処においては方面各所の航空機を使った情報収集、同時並行的に津波被害者の救助について訓練を行う。

また、関係機関との連携に当たっては、自治体との調整、民間医療機関と連携した医療活動の調整をしている。

兵站実働演習では、兵站とは物資の補給や輸送など後方支援の総称。

海上自衛隊舞鶴基地、航空自衛隊小牧基地を統合物流拠点とし、部隊の活動拠点である陸上自衛隊のそれぞれの駐屯地に物資を輸送し、兵站地としていく。

この全般の統制を伊丹駐屯地の中部方面総監部と宇治市の桂にある宇治駐屯地で行う。

《本日の研修》 本日の研修は、このブリーフィング終了後、兵站、施設調整を見学し、演習をコントロールしている統監部を見てもらう。

その後、川西駐屯地へ移動してICEシステムを視察する。

【兵站調整所】 中部方面隊の兵站体制は、東海地区から四国、中国地区まで管区としているが、そのなかで唯一の兵站基地は宇治・桂の駐屯地のみ。

関西補給処という部隊があるが、その部隊がある駐屯地が方面の兵站基地となる。

方面兵站基地と散在する30個の駐屯地をもって兵站組織が構成され、計画的な物資の補給、輸送を行っている。

災害時には、特に南海トラフの場合は同時発生なので全域に被害がある。

海岸線が600キロに亘るなかで第一線部隊は沿岸を中心に活動する。

平素と違って計画的な輸送体制はできない。

平素の体制では支援できないので災害時には兵站支援体制を構築する。

その要領としては、兵站基地は変わらないが、ここから沿岸部にいかに早くモノを届けるかとなり、それぞれ中間拠点を持っている。

四国であれば善通寺、大阪であれば信夫山、三重であれば久居、東海地区であれば小牧の4つの中間拠点を置く。

4つの前方支援地域を設けて支援する。

こういう体制を創ることで、部隊は宇治・桂までの距離を短縮できる。

短縮した距離はそれぞれの部隊が持っている輸送力で対応する。

方面隊は前方支援基地までの輸送を担当する。

全体として迅速な輸送体制をつくる。

もう一点平素と違うところは、宇治・桂にある方面兵站基地は通常陸路を使い、トラック輸送で必要な物資を運ぶが、災害時にはそれでは足りないため、空自を使い小牧基地に持ってくる。

また、大量に物資を輸送する場合は海自艦艇で舞鶴と、陸海空で最も近いところに効率的に運ぶ。

今回は、海上自衛隊、航空自衛隊との連携のため、舞鶴では海自と共同で、小牧では空自と共同で調整組織を立ち上げて初めて訓練する。

こうした災害時の兵站体制を維持するために兵站調整所を設ける。

第一線で活動する部隊が必要なものの確保と、中方独自で持っているものがなければ全国的に集めてそれを第一線部隊まで運ぶ。

この一連の手続き、調整を一元的に行うために兵站調整所を設置する。

調整所は、大きく補給調整機能と輸送調整機能を核として、それらで編成する部隊の状況を把握する師団等連絡班、モノを持っている補給処の状況を把握する補給処連絡班。

中央との連絡を行う後方連絡班。

自らモノを買うこともあれば会計。

実際の流れとしては、師団等連絡班に第一線のニーズが上がってくる。

そういうニーズを平素から各部隊の在庫管理する補給調整所で掌握し、それぞれの部隊のニーズに対応して優先順位を付けて配分を決定する。

配分を決めると、実際にモノを持っている補給処連絡班に払い出しを指示し、補給処連絡班は補給処に払い出すように指示をする。

それを次に輸送調整所でどう運ぶかを調整する。

自衛隊の車だけで足りなければ民間トラックを借り上げる。

補給処だけではモノが足りなければ関西補給処が地域で市場調査をして自ら買い上げる。

すぐにできなければ中央でお願いする、ということを調整するために調整本部をつくっている。

急を要するもの、例えば民生品で代用できるものは会計が自ら買い上げる。

中央で調達しようが地方で調達しようが、それを輸送という機能を持って第一線に送って完結する。

【施設調整所】 施設調整所は何をするところか。

施設科部隊の運用。

道路補修や橋を架ける部隊を施設科部隊という。

南海レスキューの同時発災災害に対し、施設科部隊として全国から集まった施設科を統制する場所が施設調整所だ。

第4施設団は京都宇治にある1200人くらいの部隊。

今回は同時発災で愛知県から愛媛県まで被害が出ているので、北海道と東北の同規模の部隊を指揮統制、一元化してコントロールする。

第4施設団がトップに立ち、伊丹に出向き方面総監部の中の一部署として施設部隊を統制する。

愛知県地区、近畿地区、四国地区でいろんな部隊が同時に即時救援活動一刻も早く被災者を救出できるようにする。

施設調整所の配置は、前のモニターで最新の部隊現況、シミュレーションだがどこの部隊がどれだけ運用して救援活動をしているかを掌握してハンドリングしている。

作業台は状況図で3時間から4時間ごとに更新して、余震も含めて被害の状況を一元化して共有する。

作戦図は当面作戦図と将来作戦図があり、当面作戦図はいろいろな部隊を配置し、将来作戦図は72時間後を基準として将来予測をしながらどこに部隊を配置するのか、まだまだ被害が続くのかを同時に把握する。

ワークスペースを集約することのできるスペースをつくっている。

人事・補給兵站、情報、作戦・オペレーションを考えるチームがある。

中央の机で情報を持ち寄って調整をしたり、当面作戦、将来作戦の運用に寄与していく、そこから部隊に指示を出していく。

施設科部隊の運用は、北海道などからフェリー、陸路等で逐次入ってくる。

まずは人命救助、次に生活支援のための道路啓開、瓦礫撤去、橋梁、給水炊事なども行う。

全国の応援部隊を含めて今回は4000名の部隊がパワーショベルなどを使って長期間にわかり活動していく。

ある程度沿岸部が落ち着くと内陸部、あるいは被害の大きい沿岸部に転用していく。

以上が施設調整所の役割。

【ICEシステム】 コンピュータでコントロールしていくが、統裁部しか見られない画面で、市町の被害の状況が人命・人的被害、火災発生状況、ライフライン、建造物倒壊の情報が一覧できる。

黄色は50%以下の被害。

赤色は50%以上の被害。

がけ崩れ等で孤立した地域は、ヘリコプターや海からしか接近できないというような状況を作っている。

青いのは部隊を示している。

淡路島の部隊は探して前進しながら偵察するといろんな情報が上がってくる。

要救助者を見つける。

一生懸命探すと何名要救助者がいるとわかる。

いろんな地域で見つけた情報を上級の部隊に伝える。

それがさらに上級部隊に上がると点の情報が面の情報になる。

全体の被害状況を確認して、この地域はどういう状況か、この地域はなにが不足しているかを考えて部隊を運用する。

対策を考える。

新たな命令を出す。

対策を考えていると、またさらに情報が上がってくる。

こういうサイクルを回していくと指揮幕僚活動となる。

いろんな情報処理、それに対する対応を重ね災害派遣活動の訓練を実施していく。

実際に部隊では入力をしているが、ふたつのペアでパソコンの画面を見る。

ひとつは状況を把握する画面。

電話やメールで来る上級部隊の命令を入れる。

隣はエクセルで状況文というが10分ごとにコンピュータが判定したものが入る。

10分ごとに新たな情報が出てくる。

すごい情報量になるが、これをいかに整理して第一線部隊に伝えるか。

これを災害派遣で第一線部隊は行っている。

それを再現している訓練だ。

【第一線部隊】 第一線部隊として第3師団(5000~6000人規模)と第13旅団(3000人規模)の隷下部隊がそれぞれ災害派遣活動をしている。

今は発災から丸2日経ち、人命救助活動を主体に、偵察活動もしているが、徐々に生活支援(給食給水、輸送)に移っている。

状況図には被害状況が赤で示されている。

水道被害発見などインフラ状況が行政区画で記入されている。

青は部隊の行動に関係する内容が書かれており、〇〇で要救助者発見、〇〇インターチェンジ通過、建造物被害など、担当する地域が違うので、自分の地域に関係するものだけが出てくる。

ある部隊がその地域の偵察に向かうと、土砂崩れで道路が通れないとか水道管が破裂して水道被害があるとか、通った場所の情報が状況文として出てくる。

それを連隊規模で掌握して上級司令部に送ると情報がまとまってくる。

それがさらに師団司令部や方面の司令部に送っていくと、全体の被害状況がわかってきて、それに対して部隊をどう投入するかを司令部で考えていく流れになる。

自治体等関係機関との情報共有もあるのでそちらとも連携をとる。

自治体は愛知、三重、岐阜が参加しており、そのほかは統裁部が代わりにその役をやっている。

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